品質改善活動やQCサークル活動でよく使われる
手法の一つが「特性要因図」です。
「特性要因図とは何?」
「どうやって書けばいいの?」
「4Mとは何のこと?」
「製造現場ではどのように使うの?」
「なぜなぜ分析とは何が違うの?」
このような疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。
特性要因図は、
発生した問題に対して、考えられる原因を体系的に整理するための図です。
魚の骨のような形をしていることから、「フィッシュボーン図」や
「魚の骨図」と呼ばれることもあります。
私自身、製造業で30年以上仕事をしてきた中で、品質改善や
現場改善に関わり、問題の原因を整理する場面で特性要因図を
活用してきました。
この記事では、特性要因図の基本から、
・特性と要因の意味
・特性要因図の書き方
・製造業で使われる4M
・具体的な作成例
・なぜなぜ分析との違い
・QC7つ道具との関係
・作成時の注意点
まで、初心者の方にもわかりやすく解説します。
特性要因図とは
特性要因図とは、発生した問題や結果に対して、その原因となる要因を
体系的に整理するための図です。
例えば、
「製品にキズ不良が多い」という問題が発生したとします。
この問題に対して、
・作業方法に問題がないか
・設備に問題がないか
・材料に問題がないか
・作業者に問題がないか
・環境に問題がないか
など、考えられる原因を整理していきます。
特性要因図を使うことで、頭の中だけで原因を考えるのではなく、
原因を見える化して整理することができます。
特性要因図を一言でいうと
特性要因図は、
「なぜ、その問題が起きたのかを考えるための図」
と覚えるとわかりやすいでしょう。
ただし、特性要因図に書いた要因が、そのまま真の原因に
なるわけではありません。
あくまでも原因候補を洗い出して整理するための手法です。
その後、データや現場確認を行い、本当に問題に影響している
要因なのかを確認する必要があります。
特性と要因とは?
特性要因図を理解するには、「特性」と「要因」の意味を
理解することが重要です。
特性とは?
特性とは、結果として現れている問題や現象のことです。
例えば、「製品にキズが発生する」
という問題があれば、これが特性になります。
要因とは?
要因とは、その結果に影響を与えていると考えられる原因です。
例えば、
・作業方法
・設備
・材料
・作業者
・環境
などが要因になります。
つまり、
特性=結果・問題
要因=その結果に影響すると考えられる原因
と考えると理解しやすくなります。
フィッシュボーンと呼ばれる理由
特性要因図は、魚の骨のような形をしているため、
「フィッシュボーン図」と呼ばれることがあります。
イメージすると、次のような構造です。
要因① ─┐
要因② ─┤
要因③ ─┤
├── 製品にキズが発生
要因④ ─┤
要因⑤ ─┤
要因⑥ ─┘
魚の頭の部分に「特性」を置き、そこに影響すると考えられる要因を
骨のようにつなげていきます。
このように原因を図にすることで、問題を視覚的に整理できます。
特性要因図とQC7つ道具の関係
特性要因図は、QC7つ道具の一つです。
QC7つ道具には、
・パレート図
・特性要因図
・チェックシート
・ヒストグラム
・散布図
・グラフ
・管理図
があります。
特性要因図は、この中でも特に原因分析に使われる手法です。 QC7つ道具とは QC7つ道具一覧 ① パレート図 ② 特性要因図(フィッシュボーン) ③ チェックシート ④ ヒストグラム ⑤ 散布図 ⑥ グラフ ⑦ 管理図 QC7つ道具の使い方・進め方 QC7つ ... 続きを見る
→ QC7つ道具全体の役割や、それぞれの使い分けを知りたい方は
こちらの記事をご覧ください👇
【初心者向け】QC7つ道具とは?種類・使い方・現場での活用例をわかりやすく解説
特性要因図を使う前に「何を改善するか」を決める
特性要因図は、原因を整理するための手法です。
しかし、製造現場では問題が複数発生していることがあります。
例えば、
・キズ不良
・寸法不良
・汚れ
・欠け
・設備停止
などが同時に発生している場合です。
このようなときは、「どの問題から改善するのか」
を決めることも重要です。
そこで役立つのがパレート図です。 パレート図とは? パレート図はQC7つ道具の一つ パレート図が重要な理由 パレートの法則とは? パレート図を使うメリット ① 改善の優先順位がわかる ② 改善活動の重点を決めやすい ③ 会議や報告で説 ... 続きを見る
→ パレート図を使うことで、問題を多い順に整理し、
改善の優先順位を決めることができます👇
【初心者向け】パレート図とは?作り方・見方・活用例を製造業の具体例で解説
つまり、
パレート図 → 改善する問題を絞る特性要因図 →
その問題の原因を整理する
という使い分けができます。
特性要因図の書き方
ここからは、製造現場で「製品にキズ不良が発生する」という問題を例に、
特性要因図の作り方を説明します。
STEP1:問題を明確にする
まず、解決したい問題を決めます。
例えば、
・寸法不良が多い
・キズ不良が発生する
・設備停止が多い
・作業時間が長い
・不良率が高い
などです。
ここで重要なのは、できるだけ具体的な問題にすることです。
「品質が悪い」だけでは原因を整理しにくいでしょう。
「A製品のキズ不良が増加している」
など、具体的に設定すると原因分析が進めやすくなります。
STEP2:大分類を決める
問題が明確になったら、原因を整理するための大分類を決めます。
製造業では、代表的な考え方として「4M」があります。
4Mとは?
4Mとは、
・Man(人)
・Machine(設備)
・Material(材料)
・Method(方法)
の4つを指します。
Man(人)
例えば、
・作業ミス
・教育不足
・経験不足
・作業者によるばらつき
などです。
Machine(設備)
例えば、
・設備劣化
・センサー異常
・治具不良
・設備条件のずれ
などです。
Material(材料)
例えば、
・材料品質
・ロット差
・異物混入
・材料のばらつき
などです。
Method(方法)
例えば、
・作業手順
・条件設定
・点検方法
・作業方法
などです。
4Mの視点から原因を整理することで、一つの原因だけに偏らず、
さまざまな可能性を考えやすくなります。
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STEP5:原因候補を絞り込む
要因を洗い出したら、その中から
「本当に問題に影響している可能性が高いもの」を絞り込みます。
ここで重要なのは、感覚だけで判断しないことです。
例えば、
・発生頻度
・実際のデータ
・現場確認
・設備の状態
・作業方法
などを確認します。
特性要因図に書いた要因は、あくまで原因候補です。
データや現場確認によって、本当に影響している要因なのかを検証します。
STEP6:データを使って原因を確認する
原因候補を絞り込むときには、データを使った確認が重要です。
例えば、「温度が高いと不良が増えるのではないか?」
という仮説があるとします。
この場合、
・温度
・不良率
という2つのデータを集めて、関係性を確認します。
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ただし、散布図で関係が見つかったからといって、
それだけで原因と断定することはできません。
現場の状況や他の条件も確認しながら、原因を検証することが重要です。
STEP7:改善を実施する
原因が確認できたら、改善策を実施します。
例えば、
・作業手順を変更する
・設備条件を見直す
・治具を交換する
・材料管理を見直す
・作業者教育を行う
などです。
ここで大切なのは、単純に「注意する」「気を付ける」で
終わらせないことです。
できるだけ、問題が再発しにくい仕組みに改善することが重要です。
改善活動では、対策を実施して終わりではなく、その結果を
確認して次の改善につなげます。
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特性要因図の具体例
ここでは、「製品にキズ不良が発生する」
という問題を例に考えてみます。
Man(人)
・作業ミス
・教育不足
・経験不足
Machine(設備)
・搬送装置の接触
・治具摩耗
・設備異常
Material(材料)
・材料表面不良
・異物付着
・材料のばらつき
Method(方法)
・作業手順不統一
・点検不足
・作業方法の問題
このように整理すると、原因を一つずつ確認しやすくなります。
例えば、
「搬送装置が製品に接触しているのではないか?」
という仮説が出た場合は、実際の設備を確認したり、
キズが発生した製品のデータを確認したりします。
このように、
特性要因図で原因候補を広く洗い出す
↓
データ・現場確認で原因候補を検証する
という流れが重要です。
特性要因図となぜなぜ分析の違い
特性要因図となぜなぜ分析は、どちらも原因を追究するときに使われますが、
使い方には違いがあります。
| 項目 | 特性要因図 | なぜなぜ分析 |
| 主な目的 | 原因を幅広く整理する | 原因を深く掘り下げる |
| 得意なこと | 原因候補の洗い出し | 原因の深掘り |
| 使い方 | 複数の方向から原因を考える | 「なぜ?」を繰り返す |
| 活用場面 | 原因分析の初期段階 |
原因候補をさらに追究 |
例えば、
特性要因図
「キズ不良の原因として何が考えられる?」
↓
人・設備・材料・方法などから原因候補を洗い出す。
その後、
なぜなぜ分析
「なぜ搬送装置が製品に接触したのか?」
↓
「なぜ?」
↓
「なぜ?」
と原因を深掘りします。
つまり、
特性要因図=原因を広く探す
なぜなぜ分析=原因を深く掘る
と考えるとわかりやすいでしょう。
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特性要因図を活用するメリット
原因を漏れなく整理できる
頭の中だけで原因を考えるのではなく、図にすることで
原因を整理しやすくなります。
原因の見落としを減らせる
人・設備・材料・方法など、複数の視点から考えることで、
一つの原因だけに偏ることを防ぎやすくなります。
チームで議論しやすい
図を見ながら意見を出せるため、QCサークルなどの
小集団活動でも活用しやすい手法です。
データ分析につなげやすい
特性要因図で原因候補を整理した後、実際のデータを使って
検証できます。
例えば、
・散布図で2つのデータの関係を確認する
・パレート図で問題の優先順位を確認する
・ヒストグラムでデータのばらつきを確認する
など、他のQC7つ道具と組み合わせることができます。
特性要因図を作るときの注意点
① 思い込みで原因を決めつけない
「たぶんこれが原因だろう」と決めつけると、
誤った対策につながる可能性があります。
特性要因図では、まず原因候補を幅広く整理し、
その後にデータや現場確認で検証しましょう。
② 要因と対策を混同しない
特性要因図は、原因を整理するためのツールです。
例えば、
「作業者に注意させる」は原因ではなく対策です。
原因と対策を混同しないようにしましょう。
③ 真因と原因候補を区別する
特性要因図に書いた要因は、まだ原因候補です。
その要因が本当に問題に影響しているのかを、
データや現場確認によって確認する必要があります。
④ 問題を具体的にする
「品質が悪い」
「生産性が低い」
だけでは、原因を整理しにくい場合があります。
「A製品のキズ不良が増加した」
「B工程の設備停止時間が増加した」
など、できるだけ具体的な問題にしましょう。
特性要因図から改善活動につなげる
特性要因図は、原因を整理して終わりではありません。
重要なのは、
問題を明確にする
↓
原因候補を洗い出す
↓
データ・現場確認で検証する
↓
原因を特定する
↓
改善する
↓
改善効果を確認する
という流れにつなげることです。
品質改善では、原因を見つけることだけを目的にするのではなく、
実際の改善につなげることが重要です。
特性要因図と品質管理・品質保証の関係
特性要因図は、品質問題の原因を分析するときに活用されます。
一方、品質管理(QC)と品質保証(QA)は、それぞれ役割が異なります。
品質管理では、製造工程や製品の品質を管理し、問題が発生した場合には
原因分析や改善を行います。
品質保証では、顧客に要求される品質を継続的に保証するための
仕組みを構築します。
→ 品質管理と品質保証の違いについて詳しく知りたい方は
こちらの記事をご覧ください👇
特性要因図に関するよくある質問
Q1.特性要因図とは何ですか?
特性要因図とは、発生した問題や結果に対して、
考えられる原因を体系的に整理するための図です。
魚の骨のような形をしているため、フィッシュボーン図とも呼ばれます。
Q2.特性要因図の「特性」と「要因」とは何ですか?
特性は「結果や問題」を意味します。
要因は、その結果に影響していると考えられる原因です。
例えば、
特性:製品にキズが発生する
要因:作業方法、設備、材料、人など
という関係になります。
Q3.特性要因図の4Mとは何ですか?
製造業でよく使われる4Mは、
・Man(人)
・Machine(設備)
・Material(材料)
・Method(方法)
です。
これらの視点から原因を整理することで、
原因候補を幅広く考えることができます。
Q4.特性要因図となぜなぜ分析は何が違いますか?
特性要因図は、問題に対する原因候補を幅広く整理することが得意です。
なぜなぜ分析は、一つの原因について「なぜ?」を繰り返し、
原因を深掘りすることが得意です。
そのため、
特性要因図で広く原因を探す
↓
なぜなぜ分析で深く掘り下げる
という組み合わせができます。
Q5.特性要因図に書いた内容が真の原因ですか?
いいえ。
特性要因図に書いた内容は、基本的に原因候補です。
実際のデータや現場確認を行い、本当に問題に影響しているのかを
確認する必要があります。
Q6.特性要因図は一人で作れますか?
一人でも作成できます。
ただし、現場の作業者や品質担当者、設備担当者など、
複数のメンバーで意見を出し合うことで、より多くの
原因候補を見つけられる場合があります。
そのため、QCサークルなどの小集団活動でも活用されています。
まとめ|特性要因図は「原因を広く整理する」ための手法
特性要因図は、発生した問題に対して、考えられる原因を
体系的に整理するための手法です。
ポイントを整理すると、
・特性要因図はQC7つ道具の一つ
・魚の骨に似ているためフィッシュボーン図とも呼ばれる
・特性は結果や問題を表す
・要因は結果に影響すると考えられる原因
・製造業では4Mの視点がよく使われる
・特性要因図に書いた内容は原因候補であり、真因とは限らない
・データや現場確認によって原因を検証する
・なぜなぜ分析と組み合わせると原因を深掘りしやすい
・QCサークルなどの小集団活動でも活用できる
特性要因図は、単に魚の骨のような図を書くことが目的ではありません。
「問題の原因を広く洗い出し、その後、データと現場確認によって
本当の原因を絞り込む」
ことが重要です。
製造現場の品質改善では、
パレート図で改善対象を決める
↓
特性要因図で原因候補を整理する
↓
なぜなぜ分析などで原因を深掘りする
↓
改善を実施する
↓
効果を確認する
という流れで活用すると、原因分析から改善活動まで
つなげやすくなります。