工場でこんな悩みはありませんか?
・人手不足なのに仕事が終わらない
・人を増やしたのに生産性が上がらない
・残業が多く、現場が疲弊している
・適切な人員配置が分からない
・上司から「要員効率を上げよう」と言われたが意味が分からない
製造業では、「人を増やせば生産量も増える」と思われがちです。
しかし、実際には人員を増やしても生産性が上がらないケースは
少なくありません。
私自身、30年以上製造業の現場で働く中で、人員配置や
生産性改善に携わってきました。
その経験から言えるのは、重要なのは人数ではなく
「要員効率」を考えることです。
要員効率を正しく理解すると、
・適切な人員配置ができる
・生産性が向上する
・ムダな残業が減る
・改善活動の効果が見える
など、多くのメリットがあります。
この記事では、
・要員効率とは何か
・計算方法
・計算例
・人員配置との関係
について、初心者にもわかりやすく解説します。
要員効率を理解するには、生産計画の基本となる
「タクトタイム」の考え方も重要です。
初めて学ぶ方は、こちらの記事から読むと理解しやすくなります。
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【初心者向け】タクトタイムとは?計算方法・サイクルタイムとの違いを図解でわかりやすく解説
要員効率とは?
要員効率とは、
配置した人員をどれだけ効率よく活用できているかを表す指標
です。
簡単に言えば、
「働いた人数に対して、どれだけ成果を出せたか」
を数値で表したものです。
例えば、
同じ100個の製品を作る場合でも、
・5人で作る
・10人で作る
では効率が大きく違います。
少ない人数で同じ成果を出せれば、要員効率は高いと言えます。
逆に、人数を増やしても生産量が変わらなければ、
要員効率は低くなります。
つまり、人を増やすことが改善ではなく、人を有効活用することが
改善なのです。
なぜ要員効率が重要なのか?
近年、多くの製造業では、
・人手不足
・少子高齢化
・コスト削減
が大きな課題となっています。
そのため、単純に人を増やすことは難しくなっています。
そこで重要になるのが、今いる人員で最大限の成果を出すことです。
要員効率を高めることで、次のようなメリットがあります。
① 生産性が向上する
ムダな作業が減り、同じ人数でもより多くの製品を生産できます。
② 人件費を抑えられる
必要以上の人員を配置しなくて済むため、コスト削減に
つながります。
③ 残業時間を減らせる
効率よく作業できるため、時間内に仕事が終わりやすくなります。
④ 人員配置がしやすくなる
どの工程に何人必要なのかを、数字で判断できるようになります。
経験や勘だけではなく、データをもとに人員配置を決められることも
大きなメリットです。
現場改善を継続的に進めるためには、PDCAサイクルを回すことも重要です。
→【初心者向け】PDCAとは?仕事で成果を出す回し方と PDCAとは(簡単に) Plan(計画) Do(実行) Check(評価) Action(改善) PDCAを回す簡単具体例 ■Plan ■Do ■Chek ■Action :⑤ 差異分析の結果から次 ... 続きを見る
具体例をわかりやすく解説👇
【初心者向け】PDCAとは?仕事で成果を出す回し方と具体例をわかりやすく解説
要員効率の計算方法
製造現場では会社によって計算方法が多少異なりますが、
基本的な考え方は次のとおりです。
要員効率(%)= 標準工数 ÷ 実績工数 × 100
用語の意味
・標準工数:標準時間で作業した場合に必要な工数
・実績工数:実際にかかった工数
例えば、標準工数が40時間、実績工数が50時間なら、
要員効率は80%となります。
つまり、本来40時間で終わる仕事に50時間かかった
という意味になります。
逆に、実績工数が40時間なら、要員効率は100%です。
100%に近いほど、効率よく作業できていると言えます。
計算例
具体例で考えてみましょう。
ある工程で、
・生産数量:400個
・標準時間:1個あたり3分
だったとします。
標準工数は
400個 × 3分=1,200分
つまり20時間です。
実際には、5人が5時間働きました。
実績工数は
5人 × 5時間=25時間
になります。
したがって、要員効率は
20時間 ÷ 25時間 ×100=80%
となります。
つまり、20%改善できる余地があるということです。
数字で表すことで、改善効果も確認しやすくなります。
数字だけで終わらせず、「なぜ工数が増えたのか」を
分析することも重要です。
製造現場では、原因分析にQC7つ道具が活用されています。
→QC7つ道具とは?種類・使い方・現場での活用例を初心者向けに解説👇 QC7つ道具とは QC7つ道具一覧 ① パレート図 現場での活用例 ② 特性要因図(フィッシュボーン) 現場での活用例 ③ チェックシート 現場での活用例 ④ ヒストグラム 現場での活用例 ⑤ 散布図 ... 続きを見る
QC7つ道具とは?品質管理で役立つ7種類の使い方と現場での活用例を初心者向けに解説
人員配置との関係
要員効率は、人員配置を考える上で欠かせない指標です。
例えば、同じ工程でも、忙しい日は6人必要、
暇な日は4人で十分ということがあります。
その日の生産数量に応じて、適切な人数を配置することで、
ムダな待ち時間や残業を減らすことができます。
逆に、必要以上に人を配置すると、一人ひとりの作業量が減り、
要員効率は低下します。
また、人数が少なすぎると、残業や品質不良につながる
可能性があります。
つまり、要員効率を改善することは、
適正な人員配置を実現することでもあります。
数字だけで終わらせず、「なぜ工数が増えたのか」を
分析することも重要です。
製造現場では、原因分析にQC7つ道具が活用されています。
→QC7つ道具とは?種類・使い方・現場での活用例を初心者向けに解説👇 QC7つ道具とは QC7つ道具一覧 ① パレート図 現場での活用例 ② 特性要因図(フィッシュボーン) 現場での活用例 ③ チェックシート 現場での活用例 ④ ヒストグラム 現場での活用例 ⑤ 散布図 ... 続きを見る
QC7つ道具とは?品質管理で役立つ7種類の使い方と現場での活用例を初心者向けに解説
要員効率が低下する5つの原因
要員効率が低いからといって、必ずしも作業者の能力が
低いわけではありません。
実際には、現場の仕組みや作業環境に原因があることも
多くあります。
ここでは、要員効率が低下する代表的な原因を紹介します。
① ムダな動作が多い
工具や部品を探す時間、不要な移動、何度も同じ場所を
往復する動作などは、要員効率を低下させる大きな原因です。
例えば、
・部品棚が遠い
・工具の置き場所が決まっていない
・通路に物が置かれている
といった状態では、作業時間が増え、生産性も低下します。
このようなムダは、現場レイアウトや作業方法を
見直すことで改善できます。
② 作業のばらつき
同じ作業でも、人によって作業時間が違うことがあります。
例えば、
・ベテランは5分
・新人は8分
というように差があると、ライン全体の流れが乱れます。
このばらつきを減らすためには、
- 標準作業書
- 教育
- 作業訓練
が重要になります。
③ 人員配置が適切でない
人数が多すぎると待ち時間が増え、少なすぎると残業や
品質不良につながります。
つまり、適正な人数を配置することが要員効率向上のポイントです。
④ 設備トラブルが多い
設備停止が多い現場では、作業者が待機する時間が
増えてしまいます。
その結果、実際には働いていない時間も工数として計上され、
要員効率が低下します。
設備の予防保全も重要な改善活動です。
⑤ 改善活動が定着していない
一度改善しても、時間が経つと元のやり方に
戻ってしまうことがあります。
改善を継続するためには、定期的な確認と見直しが必要です。
改善を進めるためには、「何が問題で、何を課題として取り組むべきか」
を正しく整理することが大切です。
問題と課題を混同すると、改善活動の方向性がズレてしまうことがあります。
初心者向けに違いを分かりやすく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
→ 問題と課題の違いをわかりやすく解説|ビジネスで使える具体例付き👇 問題と課題の違い【結論】 製造業の例 問題と課題の違いを一発で理解できる具体例 1.発生型問題 2.探索型問題 3.設定型問題 課題とは?【やるべきアクション】 間違えるとどうなる?【ここが重要】 ま ... 続きを見る
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要員効率を改善する5つの方法
ここからは、現場で実践しやすい改善方法を紹介します。
① 作業を標準化する
作業方法が人によって違うと、品質や作業時間にばらつきが発生します。
標準作業を作成し、誰が作業しても同じ品質・同じ時間で
できるようにしましょう。
② 5Sを徹底する
5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)は、要員効率改善の基本です。
工具や部品をすぐに取り出せる環境を作ることで、ムダな動作を減らせます。
5Sについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
→ 【初心者向け】5Sとは?意味・目的・メリットをわかりやすく解説👇 5Sとは? ①整理|不要なものをなくす ②整頓|誰でもすぐ使える状態にする ③清掃|掃除は設備点検でもある ④清潔|きれいな状態を維持する ⑤しつけ|5Sを習慣にする 5Sを実践する4つのメリット 作 ... 続きを見る
【初心者向け】5Sとは?意味・目的・メリットをわかりやすく解説【製造業必須】
③ 工程のムダを見つける
改善を進めるには、まず現状を把握することが重要です。
例えば、
・待ち時間
・移動時間
・手待ち
・やり直し
などを洗い出すことで、改善ポイントが見えてきます。
ムダが見つかったら、「なぜ発生しているのか」を
分析することが重要です。
製造業では、原因を整理するために特性要因図(フィッシュボーン図)
がよく使われます。
人・設備・材料・方法などの視点から原因を洗い出すことで、
効果的な改善につながります。
→【初心者向け】特性要因図の書き方|品質改善に役立つQC七つ道具👇 特性要因図とは 特性と要因 フィッシュボーンと呼ばれる理由 特性要因図の書き方 STEP1:問題を明確にする STEP2:大分類を決める STEP3:要因を書き出す STEP4:真因候補を絞り込む 作 ... 続きを見る
【初心者向け】特性要因図(フィッシュボーン)の書き方|品質改善に役立つQC七つ道具
④ データを分析する
改善テーマが複数ある場合は、すべてを同時に改善するのではなく、
優先順位を決めることが重要です。
その際に役立つのがパレート図です。
重要な問題から順番に改善できるため、効率よく要員効率を向上できます。
→ パレート図の作り方|QC7つ道具を使った原因分析を パレート図とは? パレート図が重要な理由 パレート図を使うメリット ① 優先順位が明確になる ② 改善効果が高い ③ 会議資料として分かりやすい ④ 改善前後を比較できる パレート図を作るために必要な ... 続きを見る
初心者向けにわかりやすく解説👇
パレート図の作り方|QC7つ道具を使った原因分析を初心者向けにわかりやすく解説
感覚だけで改善を進めても、効果は長続きしません。
品質や作業時間などのデータを分析することで、改善効果を
数値で確認できます。
改善活動では、まず正しいデータを集めることが重要です。
現場で発生した不良や設備停止、作業時間などを記録する際には、
チェックシートを活用すると、データを漏れなく収集できます。
→【初心者向け】チェックシートとは?QC7つ道具で使う目的・ チェックシートとは? チェックシートとチェックリストの違い チェックリスト チェックシート QC7つ道具の一つとして考える チェックシートを使う目的 ① データを簡単に集める ② 不良や異常の傾向を把 ... 続きを見る
作り方・活用例を解説👇
【初心者向け】チェックシートとは?QC7つ道具の使い方・作り方を解説
⑤ 人員配置を見直す
要員効率を改善するには、「人を増やす」よりも、
「適正な人数を配置する」ことが重要です。
工程ごとの負荷を確認しながら、人員配置を調整しましょう。
要員効率と生産性の違い
「要員効率」と「生産性」は似ていますが、意味は異なります。
| 項目 | 要員効率 | 生産性 |
|---|---|---|
| 対象 | 人員の使い方 | 人・設備・材料など全体 |
| 目的 | 人員配置の最適化 | 全体の成果向上 |
| 改善方法 | 人数・工数・作業方法 | 設備・品質・工程改善など |
考えると分かりやすいでしょう。
要員効率とタクトタイムの違い
タクトタイムは、必要な生産数を達成するために、1個あたり
何分で作ればよいかを示す目標時間です。
一方、要員効率は、配置した人員をどれだけ効率よく
活用できているかを示す指標です。
つまり、
・タクトタイムは「時間」の基準
・要員効率は「人」の基準
という違いがあります。
タクトタイムの考え方を理解すると、適切な人員配置や
要員効率の改善にも役立ちます。
→ 【初心者向け】タクトタイムとは?計算方法・ タクトタイムとは? タクトタイムの語源 タクトタイムが重要な理由 タクトタイムの計算方法 計算例① 計算例② タクトタイムは短いほど良いわけではない タイム・サイクルタイム・リードタイムの違い タクト ... 続きを見る
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現場での改善事例
ある組立ラインでは、5人で1日400個を生産していました。
しかし、作業を分析すると、
・部品を取りに行く時間が長い
・工具の置き場所が統一されていない
・一部の工程に作業が集中している
といった問題が見つかりました。
そこで、
・工具の配置を見直す
・部品棚を作業場所の近くへ移動する
・作業手順を標準化する
という改善を実施した結果、同じ5人でも生産量が
450個まで向上しました。
このように、人数を増やさなくても要員効率は改善できます。
要員効率に関するよくある質問(FAQ)
Q1. 要員効率は100%を超えても良いのですか?
100%を超えることはあります。
例えば、標準工数より短い時間で作業が完了した場合は、
100%を超える数値になります。
ただし、数値だけを追い求めることはおすすめできません。
無理なスピードアップによって、
・品質不良
・作業ミス
・安全事故
が増えてしまっては意味がありません。
要員効率・品質・安全のバランスを考えることが重要です。
Q2. 要員効率が低いのは作業者の責任ですか?
必ずしもそうではありません。要員効率が低下する原因には、
・設備故障
・材料待ち
・作業手順
・レイアウト
・人員配置
など、現場全体の問題が関係していることも多くあります。
そのため、「作業者が悪い」と決めつけるのではなく、
現場全体を見直すことが改善への近道です。
Q3. 要員効率と稼働率は同じですか?
違います。
要員効率は「人員をどれだけ効率よく活用できているか」を表します。
一方、稼働率は「設備や機械がどれだけ動いていたか」を示す指標です。
どちらも生産性向上には欠かせませんが、評価する対象が異なります。
Q4. 要員効率はどのくらいを目標にすればよいですか?
業種や工程によって異なりますが、多くの製造現場では
100%前後を一つの目安としています。
ただし、数値だけを目標にするのではなく、
・品質
・安全
・納期
もあわせて評価することが大切です。
要員効率を高めるための3つのポイント
① 数字だけで判断しない
要員効率は便利な指標ですが、数字だけを見て改善を進めると
失敗することがあります。
例えば、
・品質不良が増える
・作業者の負担が大きくなる
・安全性が低下する
というケースもあります。
改善活動では、現場の状況を確認しながら進めることが重要です。
② 継続的な改善を行う
一度改善して終わりではありません。
生産量や製品構成、人員は日々変化します。
そのため、
・現状を確認する
・改善する
・効果を確認する
という流れを繰り返すことが重要です。
改善活動を継続する方法については、CAPDoの考え方も参考になります。
PDCAとの違いや実践方法を詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
→【図解】CAPDoとは?PDCAとの違いと実践手順をわかりやすく解説👇 「CAP Do」とは 「PDCA」と「CAP Do」の違い 具体的な「CAP Do」の回し方 誰でもわかる簡単例題 まとめ おすすめ記事一覧 続きを見る
【図解】CAP Doとは?PDCAとの違いと実践手順をわかりやすく解説
③ データを活用して改善する
「なんとなく改善する」のではなく、実績データを分析して
原因を見つけることが重要です。
例えば、
・工数
・不良率
・設備停止時間
・作業時間
などを見える化すると、改善ポイントが明確になります。
データ分析の基本については、QC7つ道具の記事も参考になります。
特に、パレート図・特性要因図・チェックシートなどは、
改善活動で広く活用されています。
→QC7つ道具とは?種類・使い方・現場での活用例を初心者向けに解説👇 QC7つ道具とは QC7つ道具一覧 ① パレート図 現場での活用例 ② 特性要因図(フィッシュボーン) 現場での活用例 ③ チェックシート 現場での活用例 ④ ヒストグラム 現場での活用例 ⑤ 散布図 ... 続きを見る
QC7つ道具とは?品質管理で役立つ7種類の使い方と現場での活用例を初心者向けに解説
まとめ
要員効率は、製造現場で人員をどれだけ効率よく活用できているかを
表す重要な指標です。
最後にポイントをまとめます。
・要員効率は人員配置や工数改善の指標である
・標準工数と実績工数から計算できる
・要員効率が低い原因は、作業者だけでなく設備や作業方法にもある
・改善には5Sや標準化、データ分析が重要
・品質・安全・納期とのバランスを考えて改善することが大切
要員効率を継続的に確認することで、生産性向上だけでなく、
働きやすい職場づくりにもつながります。